朝晩の冷え込みとともに、季節の変わり目を感じる時期となりました。 この季節の変わり目に合わせ、現在当院では風邪症状で受診される患者様が急増しています。
特に注意していただきたいのが、例年よりも早いペースで流行が始まっているインフルエンザと、ブタクサなどを中心とする秋の花粉症です。実は、この2つには深い関連があります。
1. 例年より早いインフルエンザの流行
通常は初冬から流行が本格化するインフルエンザですが、今年は早い時期から感染報告が相次いでいます。 急な高熱(38度以上)、強い倦怠感、関節痛や筋肉痛といった全身症状が現れた場合は、無理をせず早めの受診をご検討ください。
2. 見逃されやすい「秋の花粉症」(ブタクサ・ヨモギなど)
春のスギ・ヒノキほど知られていませんが、秋にもキク科のブタクサやヨモギ、イネ科などの花粉が飛散します。 これらは草丈が低いため、河川敷や公園、道路沿いなどを通るだけでも症状が出やすい特徴があります。 「くしゃみ・水っぽい鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」があり、熱があまり高くない場合は、風邪ではなく秋花粉の可能性を疑う必要があります。
3. 花粉症(アレルギー性鼻炎)があるとインフルエンザにかかりやすい?
「花粉症があるとウイルス感染しやすくなるのか?」という疑問について、近年、医学的な研究でもその関連性が明らかになってきています。
大規模な遺伝統計解析を用いた近年の研究(Liら, 2025年など)では、アレルギー性鼻炎や喘息などの呼吸器アレルギー疾患が、インフルエンザの感染リスクを高める有意な要因であることが示されています。
背景には、主に以下のような医学的メカニズムが考えられます。
- 気道・鼻粘膜のバリア機能低下: アレルギー反応に伴う炎症によって粘膜上皮の結合が緩み、防御壁(上皮バリア)が破綻することで、インフルエンザウイルスが体内へ侵入しやすくなります。
- 抗ウイルス免疫の抑制: 花粉への曝露自体が、体がウイルスに対抗するための抗ウイルス物質(インターフェロンなど)の産生を抑えてしまうことが報告されています(Gillesら, 2020年 Allergy誌)。
- 接触感染と乾燥(物理的要因): 目や鼻のかゆみで手で顔を触る回数が増える(接触感染のリスク増)ほか、鼻づまりによる口呼吸でのどが乾燥し、異物を排除する線毛運動が低下します。
このように、花粉症の症状を放置することは、インフルエンザウイルスに対抗する防御機能を弱めてしまうことにつながります。
今からできる対策
いずれの予防・重症化防止のためにも、日頃から以下の対策を徹底しましょう。
- 手洗いの徹底とマスクの活用: ウイルス対策だけでなく、花粉の吸入予防にもマスクは有効です。
- 早めのアレルギー治療: 鼻炎症状をしっかり抑えて粘膜のバリア機能を保つことが、感染症予防の第一歩です。
- 予防接種の検討: インフルエンザワクチンは発症や重症化の予防に効果的です。流行が早まっている今シーズンは、早めの接種計画をおすすめします。
「ただの風邪か花粉症かわからない」「急に熱が出て体がだるい」といった症状があるときは、我慢なさらずお気軽にご相談ください。