ソフィア内科クリニック 大宮サクラスクエア院長の木村英晴です。
例年であれば冬場にピークを迎えるインフルエンザですが、今シーズンはすでに夏から初秋にかけて患者報告数が急増し、異例の早さで流行シーズンに入っています。
地域や学校、職場などでも早期の集団感染や陽性者が散発しており、「まだ秋口だから大丈夫」という従来の感覚が通用しない状況です。特に、気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患をお持ちの方や、生活習慣病を治療中の方にとって、この早期流行は看過できないリスクとなります。
今回は、現在の感染状況を踏まえた重症化リスクと、例年以上の「早期ワクチン接種」の重要性についてお伝えします。
すでに始まっている異例の早期流行
かつては12月〜翌年1月頃から本格化していたインフルエンザですが、今年は8月〜9月の段階で定点当たりの報告数が流行開始の目安を超え、前倒しでの感染拡大が確認されています。
秋から冬にかけて人の往来が増え、空気が乾燥してくると、さらに感染が急拡大する懸念があります。流行が前倒しになっている以上、予防対策のスケジュールも大幅に前倒しで進める必要があります。
呼吸器疾患をお持ちの方:感染を契機とする「急性増悪」への警戒
気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎などの基礎疾患がある方は、気道の防御機能が低下しています。
- 急性増悪(急激な発作・呼吸苦):インフルエンザウイルスが気道粘膜を傷つけることで、激しい喘息発作やCOPDの急性増悪を引き起こし、在宅酸素の導入や入院治療を余儀なくされるケースがあります。
- 二次性細菌性肺炎の合併:ウイルスによるダメージを受けた肺に肺炎球菌などの細菌が二次感染し、重篤な肺炎へ進行するリスクが跳ね上がります。
普段の吸入治療で症状が落ち着いている方ほど油断しやすく、ウイルス感染をきっかけに急激に状態が悪化することがあるため、最優先での防御が求められます。
生活習慣病(糖尿病・高血圧など)をお持ちの方のリスク
糖尿病をはじめとする生活習慣病をお持ちの方も注意が必要です。
高血糖状態では白血球の機能が低下し、感染症にかかりやすく重症化しやすい傾向があります。また、高熱や食欲不振による脱水から血糖値が急激に乱れる「シックデイ」に陥る危険や、感染による激しい全身炎症が血圧を上昇させ、動脈硬化が進んだ血管に過度な負担をかけるリスクが知られています。
「接種開始後すぐ」の早期ワクチン接種を強くおすすめします
インフルエンザワクチンは、接種してから体内に十分な抗体ができるまでに約2週間かかります。
すでに市中での感染リスクが高まっている今シーズンにおいては、「流行が本格化してから打つ」のでは間に合わない可能性が極めて高くなります。ワクチンの効果はおよそ約5か月持続するため、9月下旬〜10月の接種開始直後に打っても、冬本番の流行期まで十分にカバーできます。
- 呼吸器疾患・生活習慣病などの持病をお持ちの方
- ご高齢の方
- 受験生や、重要なビジネス・仕事の予定を控えている方
こうした皆様は、接種開始となったら可能な限り早いタイミングでの接種をご検討ください。